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Let's enjoy Mathematics

第二回数理女子ワークショップ開催レポート:前編

2017910日および2018217日、第二回数理女子ワークショップ第1・2弾を開催しました。

本ワークショップは数学の魅力をよりたくさんの女性に知ってもらいたいという想いで、東京大学大学院数理科学研究科と数理女子の共催で2017年夏より実施しています。(第一回目の様子はこちらをご覧ください。)本ワークショップシリーズのテーマは「あなたも数学者!」そして「数学を発見する・数学で創る」。第二回目のトピックは「ゲーム・サイコロに潜む数学」、講師は、同大学院佐々田槙子准教授、国際数学オリンピックメダリストの中島さち子先生・近藤宏樹先生です。

参加者への事前アンケートでは、算数・数学に対して女子小・中学生とお母様方が興味を持ってくださっている様子と同時に、不安も伝わってきました。

「子供が学校の勉強ということでなく、数学を楽しいものと思ってくれるといいなと思っています」

「日常も算数があふれていること、そして、算数の魅力を知ってほしいと思います」

「算数はあまり得意ではありませんが、日常の中にある数字には興味を持っています」

「難しい。わからない」「苦手意識、暗記」

「できれば関わりたくない、嫌なイメージを持っています」 

このように、実は数学に苦手意識のある女子小・中学生とお母様方にも多くご参加いただいています。算数・数学が好きな方はもちろん、苦手・嫌い!と思っている方々にも、算数・数学は自由で創造的でワクワク楽しいよと伝えられたらと思いつつ、当日を迎えました。

【ワークショップ当日】
9:30
受付開始。受付をした方から黒板にあるカレンダーの自分の誕生日に可愛いシールを貼っていきます。事前に「今回の参加者の中には同じ誕生日の方の組はあるでしょうか?」というクイズを出していましたが、かなり早い段階でシールが2枚になった日にちが現れ、「当たった!」とか「あれ!ないと思ったのに」等、さっそく親子で盛り上がっていました。

9:50。ワークショップ開始。最初に大きめのお部屋で簡単にご挨拶した後会場を移動し、子どもたちとお母さま方はそれぞれ別の部屋へ。各テーブルには、大学・大学院の学生などがTATeaching Assistant)として一名ずつ座ります。
すると・・・机の上には、こんな不思議なサイコロが置いてありました。

最初に各グループで、自己紹介と共にテーブルの上の不思議なサイコロを見た感想や疑問等を共有します。こんなサイコロ初めて見た!という方から、早速振ってみる人、色々な発見を共有する人も。

「正四面体サイコロは、どの目が出ているのかよくわからない」

「出やすい目はないのかな」「これは何面あるのかな」

「どんなサイコロが良いサイコロなのかな?」

次に、正四面体サイコロを使って対戦ゲームをしました。ルールは「大きい目が出た方が勝ち」というとてもシンプルなもの。でも、サイコロの目を「1, 2, 3, 4」から変えてもいい、という新しいルールを加えます。ただし、4つの目の合計は10でなければいけません。例えば、「1, 3, 3, 3」や「1, 1, 4, 4」など。どんな目にすると勝てるでしょう??

まずは「1, 3, 3, 3」と「1, 1, 4, 4」のサイコロを作って、20回勝負をやってみます。どのチームも盛り上がり始めました。互いに初めて会った方々ですが、早速投げる人、読み上げる人、記録する人、のように役割分担が自然に生じ、てきぱきと作業を進めていきます。

結果は、「1, 1, 4, 4」が勝った!というチームが多く、「1, 1, 4, 4」の方が強いのではないかという予想がたちました。でも、なぜでしょう?

「4だと絶対勝てるから」「3は半分勝てるけど半分負けるから」などいろんな意見が出てきました。その後、表などを書き、もう少し踏み込んで考察してみました。

では、「1, 2, 3, 4」と「1, 3, 3, 3」ではどうでしょうか。

さらに、「では一番強いサイコロはなんでしょう?」という問いに対しては、議論が非常に盛り上がりました。中にはとても鋭い意見も!グループ内でも、グループ同士でもさまざまな意見と議論が生まれ、たくさんの試行錯誤がありました。

なお、「( 1, 1, 1, 7 )が一番強いと思います!」と発表されたお母さんは、後から実はこのサイコロはかなり弱いと気づいて衝撃を受けていました。お母さん方からは「( 1, 1, 1, 7 )のように一発勝負みたいな運任せの危険な人生は子どもには送ってほしくない(笑)」などの意見も。ランチの時間には母娘での会話も盛り上がっていました。

さて、結果は・・・読者の皆さんも考えてみて下さい!自分なりの「答え」が見つかったら、さらにサイコロの目の選び方にルールを追加して考えるのもおすすめです。

  不思議なサイコロを何度も振って対戦する作業を通して、実はサイコロの「3」が出る確率、2つのサイコロのうち一方が勝つ確率・・・など、確率概念を体験しています。

確率という言葉は「降水確率」等で聞いているかもしれませんが、そもそも確率とは何でしょう。ワークショップでは、サイコロゲームを通じて、確率の意味を探りました。

確率とは、ある事象(雨が降る・ゲームで勝つ・地震がくる・宝くじにあたる・病気になるなど)の「起こりやすさ」を数字で表したものです。未来の完全な予測はできませんが、起こりやすさを数字で把握することで、未来についてある程度の予想をし、準備をすることができます。

確率は、例えば宝くじを何円で何枚売ればよいか、どんな保険を作ればよいか、ゲームでレアキャラをどの程度出せば面白いか、病気の検査から病気であるか否かをどの程度で判定できるか、天気予報に応じ商品をどう仕入れるのがよいか、スポーツ勝敗予想…などなど、私たちの身近な生活の中で沢山計算され、役立っています。

確率概念が人類の歴史に現れたのは実はたった400年ほど前です。それまでは未来を定量的に予測するという考え方はありませんでした。が、当時、賭け事をめぐってある問題が生じ、哲学者・数学者パスカルと数学者・政治学者のフェルマーが手紙を何度も交わして問題解決方法を論じました。その往復書簡の中で、確率の考え方が整備され、誕生しました。※参考:「世界を変えた手紙~パスカル、フェルマーと<確率>の誕生~」

午前中は、このように「確率」という現代社会の中で大切な概念の体験的な発見・理解を目指したワークショップを行いました。

なお、第1弾では、この後「人間はランダムを作れない」ことを体験するワークを行いました。具体的には10個の一列のマスに〇や×をランダムになるように書き入れ、〇の個数や〇・×の塊(かたまり)の個数分布などを調べ、「本当にランダムに○と×を並べた場合」と比較しました。

第2弾(20182月実施)では、氷と水の変化や感染病の伝搬など様々な話題と関連する「パーコレーション」という現代確率論の重要なテーマを、20面体サイコロを使って体験するワークを行いました。興味を持った方は、ぜひこのキーワードを調べてみてください。

第2弾(2018年2月実施)では、5×5の白いマスに正20面体を25回振って出た目をチームごとに適宜書き入れました。

その他、「ランダムウォークを目で見て体験しよう」というアクティビティも実施しました。サイコロを何度も振って、その目に応じた場所と色でマス目を塗っていくと、「ランダム」の動きがよく見えます。「思ったより続けて同じ目が出ることも多い!」「ずっと右に行ってしまって困ったけど、途中から戻ってきた」など、ランダムの持つちょっと意外な特性も見えてきました。実は、「ランダム」を取り入れた絵や音楽などの芸術もたくさんあるんですよ。

 盛り沢山の午前中を終えて、いよいよランチ時間。親子共に、TAの皆さんや講師も一緒になって、お話をしながら楽しくランチを頂きました。

●次回予告
ランチ後の座談会、楽しい針金投げゲームやゲーム作りの様子をご紹介します!

※2018年5月掲載。情報は記事執筆時に基づき、現在では異なる場合があります。

写真:河野裕昭氏撮影

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