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Let's enjoy Mathematics

「第一回数理女子ワークショップ」開催しました!:前編

小・中学生のみなさんにとって、夏休み最後の土曜日となる8月27日、第一回数理女子ワークショップを開催しました。

当日はあいにく天候が悪かったのですが、ワークショップ開始時間の午前9時半には、女子小・中学生とお母様方、そして数学の魅力を伝えたいという熱い思いを持ったボランティアスタッフ、総勢50名ほどが集まりました!

ws講師

会場は、東京大学大学院数理科学研究科。ワークショップ当日も、すぐ隣では数学の国際研究集会が開かれていました。大学の雰囲気に少し緊張気味の参加者の皆さんを前に、まずは講師の二人、中島さち子と佐々田槙子がご挨拶。

その後、すぐに会場を移動して、子供たちとお母様たちはそれぞれ別の部屋へ。この日のテーマは「デザインの中の数学」!!まずは、ワークショップ前にメールにて配布されていたさまざまな敷き詰め模様のデザインを見ながら、グループでその特徴を探っていきました。

事前アンケートでは「数学は苦手」というお子さん、お母様がたくさんいらっしゃいましたが、デザインの特徴を探るのは皆さんとても上手。

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「同じ部分の繰り返しでできている」「ぐるぐる回すと元に戻る」「どの点を中心と見るかで、絵の印象が変わる」「すべての絵に目がついている」「隙間がない」…新しい視点が次々と出てきます。

*自己紹介から話がつきずに大盛り上がりのお母様方は、グループ作業のたびに話が尽きなくなっていました。

 

いろいろな特徴が見つかったところで、「敷き詰められている」ことと「繰り返しでできている」ことには実は違いがある!ということを紹介しました。この「繰り返し」の正体を探ることが一つの目標です。そのために、今度はOHPシートを使って、これらの敷き詰め模様が持っている性質をより詳しく調べていきます。

OHPOHPシートを使うとどんなことがわかるかというと…
OHPシートを横にずらすと元の絵に重なる=「平行移動対称性」がある
OHPシートを裏返すと元の絵に重なる=「線対称性」がある
OHPシートを回転すると元の絵に重なる=「回転対称性」がある

これらの模様には、さまざまな「対称性」が隠れていることを子供たち、お母さんたちがどんどん発見!そして、すべての模様に「平行移動対称性」があることがわかりました。これこそが「繰り返し」の正体だったのです。つまり、これまでみていた模様はただの「敷き詰め模様」ではなく「繰り返し模様」だったのです。

「対称性」は、実は美しさや使いやすさなどを決める、デザインにとって非常に重要な要素です皆さんの身の回りにある物の多くが、対称性を持っています。ぜひ、周りを見渡してみてください☆

今度は、対称性によってさまざまな模様を分類してみます。例えば、アルファベット「A,B,C,D…」の中には線対称性を持つもの、回転対称性をもつもの、線対称性と回転対称性の両方をもつもの、があります。
線対称性だけ:A,B,C…
回転対称性だけ:N,S…
線対称性と回転対称性の両方:H,I…
どちらもない:F,G,J,…
他のものもぜひ自分で分類してみましょう。

このように「対称性」に応じた分類をかんがえることは、デザインのヒントにもなります。そこで、さまざまな敷き詰め模様を「対称性」という観点から、各グループで分類してみました。

「回転対称性」をもつかどうか、「線対称性」をもつかどうか、など分類の仕方はいろいろあり、分類のしかたに正解はありません。実は、これは今回のワークショップのとても重要なメッセージです。

「算数・数学はいつも答えが一つ」というのは大きな誤解です「どういうルールで分類するか」「どういう性質に着目するか」を決めるのはみなさんの自由であり、そここそが大切なのです。ルールに従って答えを出すことももちろん重要なことですが、そのルールを作ることには、さらなる面白さと意味があるのです。

 

子供発表

いろいろな視点での分類を発表してもらった後、実はこの「対称性」に着目した「繰り返し模様」の分類は、細かくルールを作って区別してみても、17種類しかないことを紹介しました。そして、なぜ17種類なのかという不思議にせまるための鍵についての話、3次元の「繰り返し模様」の話、「繰り返し模様」ではない「敷き詰め模様」の話、そこからノーベル化学賞につながる発見が生まれた話、とどんどん話題は広がっていきました。

盛りだくさんの午前中が終わり、ランチタイム♪
グループワークで一緒になったお友達同士で、親子一緒に感想を話しながら食べていました。さまざまなバックグランドを持つボランティアスタッフとのお話が盛り上がっている姿も見られました。

後編につづく)

3月にも同様のワークショップを行います。

 

●次回予告
ランチの後に行ったデザイナーと数学者の対談、その後の楽しい作品作りの様子や完成したオリジナル作品をご紹介します!

※2017年2月掲載。情報は記事執筆時に基づき、現在では異なる場合があります。

写真:河野裕昭氏撮影

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