数学を学んだ私が、データ分析の仕事で感じていること
数理女子をご覧の皆さん、こんにちは。
現在、外資系IT企業でデータ分析を扱うプリセールスエンジニアとして働いている嬉野です。
「プリセールスエンジニア」という仕事は、あまり聞きなれないかもしれません。日本語では技術営業と呼ばれることもあり、データ分析やAI活用に関してお客様の課題を伺い、自分が担当している製品を使って、技術的な立場から解決策を提案するのが私の役割です。
現在は、データベース、データ可視化、シミュレーションなどを行う製品を担当しています。
仕事では国内外の出張に行ったり、海外メンバーと英語でやり取りする機会も多くあります。日々技術の進歩が目覚ましく、新しい知識をキャッチアップするのに必死な毎日ですが、その分とても刺激があり、充実した日々を送っています。
大学院では確率論を専攻していました
私の大学院での専門は確率論でした。
確率論は、確率分布やランダムな現象の振る舞いを理論的に扱う分野で、私はその中でも「エレファントランダムウォーク」(記憶をもつランダムウォーク)という確率モデルについて研究を行っていました。
大学や大学院時代の友人には、保険会社でアクチュアリーとして働いている人、銀行でクオンツとして活躍している人、学校の先生になった人などがいます。周囲を見ていると、数学の知識を生かした仕事に就いている人が多いと感じます。
大学院時代のことについては、数理女子の別の記事でも紹介しています。もしご興味があれば、ぜひご覧ください。
大学院生のリアルライフ<2021年3月掲載>
現在の仕事と数学
現在の仕事では、学生時代のように数式を導いたり、厳密な証明を行ったりすることはほとんどありません。
一方で、私が関わっているデータ分析の分野では、機械学習やAIを使う場面が非常に多く、どの手法を選ぶかを考える際には数学的な知識が求められることもあります。
PythonやSQL(Structured Query Language)を使ってデータを扱うこともありますが、その際にも、問題を整理し、筋道を立てて考える数学的な思考力が役立っていると感じています。
最近では、私が担当している新しいデータ分析製品にモンテカルロシミュレーションが組み込まれているのを見て、学生時代に学んだ確率分布を思い出し、少し懐かしい気持ちになりました。
大学院で行っていたような証明をする場面はありませんが、かつて学んだ理論が、今では実際のビジネスの意思決定を支えている。そのことに、数学を学んできた意味を改めて実感しています。
また、企業側の立場として産学連携のプロジェクトに関わる機会も増えてきました。研究者の方々とお話しする中で、自分自身の学生時代の研究経験があったおかげで、話がスムーズに進むと感じる場面もあります。
数学は、将来の選択肢を広げてくれる
学生の頃や入社当初は、企業のデータ分析はもっと厳密で、数学的に行われているものだと思っていました。実際に5年ほど働いてみて感じたのは、AIが広く使われるようになった現在では、研究で扱う数学ほど厳密に進められるケースは多くないということです。
特に、データの収集やクレンジング(前処理)が非常に重要だと実感しています。

友人と乗馬体験に行った時の写真です。休みの日は色々なスポーツにも挑戦しています。
一方で、数学の研究を通して身につけた論理的な思考力や、自分で調べたことを整理して人に伝える力は、今の仕事でも確実に生かされています。
物事を論理的に考え、本質を捉え、不確実な状況でも判断する力は、ITやデータ分析の分野に限らず、さまざまな場面で役立つものだと思います。
数学が好き、面白いと感じている皆さんには、その気持ちを大切にしながら、自分なりの進路を考えてほしいと思います。
数学は、きっと将来の選択肢を広げてくれるはずです。
※2026年3月掲載。情報は記事執筆時に基づき、現在では異なる場合があります。
著者略歴
現在は外資IT会社にプリセールスエンジニアとして勤務。
趣味はゴルフ。