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この文章を書いたのは?

奈良女子大学大学院 人間文化研究科 数学専攻修士1年

佐藤 郁

「サイエンス・インカレ」に出場して

みなさんは「サイエンス・インカレ」を知っていますか?
サイエンス・インカレというのは、文部科学省主催の、自然科学を学んでいる大学生、高等専門学校生を対象にした研究発表会です。私は第4回、第5回のサイエンス・インカレに出場しました。出場しようと思ったきっかけは、私が在籍していた数学科は他の理系の学科と違い、卒業論文を書くということがありませんが、せっかくなので、何か形に残したいなという思いがあったからです。
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しかし、それまで数学の研究をやったことがなかったので、どのようなテーマにするかとても悩みました。また数学の応募が少ないことも聞いていたので、発表するにあたって、いかに興味を持ってもらえるかということが重要だなと感じていました。そこで私が選んだテーマは「折り紙」です。今、科学の世界でとても注目されている折り紙ですが、日本人なら誰でもやったことある思うし、数学という興味を持ちづらい分野でも楽しんで聞いてもらえるのではないかと思いました。

しかし、単に「折り紙」と言っても、数学の研究としてどのような研究をすればよいのか悩みましたが、まずは先輩方に研究の話を聞いたり、折り紙に関係した本をいろいろ調べたりしました。調べた本の中には、デザインや被服関係のものもあり、折り紙の世界って奥が深いなと感じました。また、SNSやテレビ、新聞などで折り紙についての情報収集をして、日本各地で開催されている折り紙の展示を見に行ったり、他大学での折り紙のワークショップに参加したり、折り紙の構造が用いられているお菓子の箱やグッズを実際に見にいったり、取り寄せたりと、折り紙についての情報集めが自分の日常の1つになり、楽しみの1つにもなりました。
 こうしてたどり着いたのが、「花紋折り」という折り方でした。第4回のサイエンス・インカレでは、この花紋折りに数学の視点からスポットを当てた研究について、口頭発表部門でパワーポイントを使って発表をしました。女の子らしく、スライドのデザインも女子っぽい花柄で攻めてみました!(テーマが花紋折りだったという理由もあります。) 

数理女子④また、数学の難しさを、スライドだけでいかにわかりやすく説明するかを重点に考えました。そのかいもあってか、この年はグッドパフォーマンス賞をいただきました。そして第4回の受賞者の1人としてフランスへの10日間の研修に派遣されました。様々な研究所を訪問して、海外の研究の最先端に少しですが触れることができました。研究に対して意識が高いメンバーと一緒だったので、多くの刺激を受け、次の年も絶対インカレに出ると強く決意しました。
 第5回では研究をさらに発展させ、ポスター発表部門で出場しました。ポスター発表は、口頭発表とは違い、模型を持ち込んで発表することができるので、その強みを活かして折り紙の楽しさをたくさんの人に伝えることができたと思います。その結果、ポスター発表部門の第2位を受賞できました。

数理女子②サイエンス・インカレのいいところは、学部生のときから自分の研究発表ができるということ、また文部科学省主催で多くの企業の協力により開催されているので、企業の方々など多くの研究者と交流する機会が設けられていることが挙げられると思います。
サイエンス・インカレに参加したことで、改めて数学の楽しさを感じることができ、発表の楽しさ、他の研究者と交流する楽しさなど多くのことも感じることができました。平凡に終わりそうだった学部時代がとても充実した時間となりました。そして大学院生である今、研究内容を活かすこともできているので、チャレンジして本当によかったなと思っています。

第6回のサイエンス・インカレも開催が決定しているので、興味がある方はぜひチャレンジしてみてください。

佐藤さん写真1

 

 

※2016年8月掲載。情報は記事執筆時に基づき、現在では異なる場合があります。

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