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この文章を書いたのは?

お茶の水女子大学理学部数学科4年

浅見 唯葉

“不思議”を通して毎日を豊かに

突然ですが、皆さんは“サイエンスコミュニケーション団体”を知っていますか?
「サイエンスコミュニケーション」とは、「専門家が非専門家に対し科学的なトピックを伝えること」をさします。

 私は現在「お茶の水女子大学サイエンスコミュニケーション団体おちゃっこLab.」という学生団体で科学の面白さを伝える活動をしています。大学入学当時、できたばかりのこの学生団体で活動を始め、今年で4年目になります。  

 

この活動を始めたきっかけは「数学の面白さを知ってもらいたい」という気持ちがあったからです。私は幼い頃に科学実験教室によく参加し、科学の面白さを教えてもらいました。しかし、当時は算数教室がなく、私が学校の授業以外で算数・数学に触れることができる機会は珠算教室だけであり、私が数学の面白さを感じることができたのは高校に入ってからでした。数学が「言葉」となり様々なことの理由を教えてくれているようで、生活の中に数学を感じることができてとても面白かったです。もっと早く気づくことができていたら、毎日がもっと楽しかったと思います。この経験から、科学実験教室のような、数学の面白さを知ることができる教室があれば、数学に対する苦手意識が減少し、もっと数学に興味を持ってくださる方が増えるのではないかと考えるようになりました。

現在、おちゃっこLab.の活動の中では、主に数学に関するイベントの企画をしています。教具を作り遊びながら数学に触れてもらったり、身近なものに隠れている数学を見つけるショーを開催したり、多面体を折り紙で作る工作をしたりしました。世代を問わず「面白い数学」を知ってもらうためのイベントにしたいので、算数・数学の区分にとらわれず企画していこうと思っています。対象年齢は設定していますが、学校で習うような堅苦しいものではなく、「こんな数学もあったのか。面白いな。」と感じてもらうことが目標です。もちろん、学生団体の活動の中ではロボットのプログラミングを教えたり科学実験を行なったりと他の様々な活動もしますが、全てに共通している活動理念は「現象に疑問を持ち、原理を知り、発見を楽しんでもらう」ということです。その思いを伝えるためにも、「論理的」かつ「シンプル」に伝えることのできる数学は欠かすことのできないものだと思います。そしてその「考え方」や「伝え方」は日常生活を送る上で大切なことだと思います。

ゲームであれば楽しむことができるのに”勉強”と感じる数学になると楽しくなくなってしまうのは、数学に近寄りがたいというイメージがあるからだと思います。数式でみると数学は小難しく見えるかもしれませんが、実際はそんなことはありません。普段「触れて」「聴いて」「感じて」いることを伝えるための「言葉」として私たちに寄り添ってくれていることを、この活動を通して少しでも感じてもらえたらと思っています。数学を「面白い!」と思ったら、日常の“あたりまえ”が少しの“不思議”に変わります。そしてその“不思議”は毎日を少しだけ豊かにしてくれると思います。

※2020年10月掲載。情報は記事執筆時に基づき、現在では異なる場合があります。

著者略歴

お茶の水女子大学理学部数学科4年
浅見 唯葉
グラフ理論や組み合わせ論を勉強している。
特技は珠算と暗算、趣味は昼寝とteamLabの展示を見ること。

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