key

この文章を書いたのは?

日本アイ・ビー・エム株式会社

桑島 彩実

彩り豊かな経験を味わえる数学

こんにちは。現在IT企業でシステムエンジニアとして働いている桑島です。私は、社会人1年目から土日等仕事の業務時間外にさぽうと21という社会福祉法人でボランティアをしており、数学を教えています。今回は、その経緯やボランティアで感じたこと等をお話したいと思います。

私は小さい頃から算数や数学が好きで、中学生の頃は数学検定にはまり独学で2級を取得、その後は受験数学以外も学ぶほどでした。学生の頃は、なりたい文系の職業があったのですが、大学では好きな数学を学ぶ選択をしました。大学で学ぶ数学は楽しく、時には夜中まで考え、気が付いたら朝になっていることもあるくらいでした。また、大学では中学・高校の数学と情報の教員免許を取得しました。大学卒業後は、数学が活かせそうな仕事としてシステムエンジニアが候補にあり、IT技術にも興味があったことからIT企業に就職しました。仕事では直接数学を扱うわけではないのですが、間接的に役に立っていると感じていました。ただ、やはり今まで学んだ数学を活かしたいという気持ちがあり、そのとき教育ボランティアの存在を知り、仕事外の時間にボランティアを始めることにしました。

私がボランティアをしているさぽうと21という社会福祉法人は、日本で生活する難民、中国帰国者、日系定住者等の方々を対象としており、小・中学生や高校生等様々な世代の方がいらっしゃいます。生徒の方からの質問は、ある問題についての質問から、この分野を一から教えてほしい等幅広いです。数学の問題を一緒に解いて、やはり数学は興味深いと再認識させられます。生徒の方から、「数学は苦手だけど興味はある」「母国では理系の研究をしたくてもできない」等お話を聞き、さらに熱が入りました。自分の知識が誰か困っている人の役に立つのならと思うと、嬉しくつい色々教えてしまいます。生徒の方は正直なので、「今の説明分かりやすかった」と言ってもらえたときはやりがいを感じます。

また日本語を母国語としない方に数学を教える中で、数学は世界共通の言語であると感じたことがあります。日本語が得意ではない方から「英語話せますか」と尋ねられ、英語で数学を教える流れになりそうになったことがあります。一瞬焦りました。私は英語が得意ではないのです。しかし、(もちろん英語を使いこなせるに越したことはありませんが)図や数式を用いて説明すると、生徒の方が理解し、類題を自発的に解く姿に触れた際は感動しました。「数学は世界共通言語である」という言葉を聞いたことはありましたが、実感したのは初めてでした。

今は、数学をメインに教えており、本業のITについては少ししかお話できていませんが、今後は数学× ITについても生徒の方に紹介する予定です

最後に、将来数学を活かしたいが、どのような道があるかわからず、迷われている方へ、

まず、私はどのような職業、職種だとしても数学は活かされていると思います。ただ、それが直接的なのか間接的なのかの違いであり、数学を活かす将来と言われるとつい直接数学を活かす道が浮かんできてしまうのだと思います。直接的に活かす例としては、数学の教師や研究者等です。間接的に活かすとは、数学で学んできた論理的思考力や、諦めずに最後まで考え抜く力等ソフトスキルの活用です。皆さんが思い浮かぶ職業で、論理的思考が不必要なものはあるでしょうか。ないと思います。つまり、どの仕事であっても、数学を通じて学んできたことは活かされると考えているのですが、あえて数学を間接的に活かすことと直接的に活かすことの両方に挑戦してみるのも面白いかもしれません。実りある数学ライフを一緒に楽しみましょう。

 

 

※2022年10月掲載。情報は記事執筆時に基づき、現在では異なる場合があります。

著者略歴

日本アイ・ビー・エム株式会社
桑島 彩実
社会人になってから外に出る機会が減ってしまったので、気分転換にハイキングや山登りをして自然に癒されています。また、学生のころから舞台鑑賞(特にミュージカル)が好きで、よく観に行きます。

SNS Share Button