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Books書籍紹介

数の歴史|幾何の魔術 魔方陣から現代数学へ

数の歴史数の歴史

ドゥニ・ゲージ著、藤原正彦監修、「知の再発見」双書74、創元社、南條郁子 訳

題名のとおり、数の歴史についての本です。数えるという行為、数字の誕生からはじまって、数の世界がどう拡張されてきたかが丁寧に解説されています。数をテーマにした絵や写真が沢山載っていて、それを眺めるだけでも楽しいと思います。私が気に入っているのは次の一節です。どういう意味かはこの本を読めば分かります。

あるとき、ピタゴラスは次のような質問を受けた。「友とは何か」。ピタゴラスは答えた。「友とはもう一人のわたし自身だ」。そして相手の困惑した顔をみてこうつけ加えた。「220にとっての284, 284にとっての220のようなものだ」


51jfYfxmjUL幾何の魔術 魔方陣から現代数学へ

佐藤肇、一樂重雄 著、日本評論社

この本は本格的な数学の本ですが、中学生くらいからでも読めるように分かりやすく書かれています。3以上のすべての整数nに対してその大きさの魔方陣が存在することを解説しています。点と直線の幾何学であるアフィン幾何学と射影幾何学、n進法や体、行列などが出てきます。公理から出発して論理的に議論を進めているので、数学の論理の組み立て方に触れることができると思います。公理とは、数学で証明なしに認める抽象的な性質のことで、数学の全ての議論は公理をもととしてその上に組み立てていきます。例えば、アフィン平面の公理の一つは「異なる2つの点を通る直線がただ1本だけ存在する」です。また、符号理論や実験計画法など、現実の社会にどう応用されているかが述べられています。これを読んでみて面白いと思う人には数学が向いていると思います。

(推薦者I. N.)

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※2016年5月掲載。情報は記事執筆時に基づき、現在では異なる場合があります。

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